「水の底」

Posted by admin on 2012年07月24日(火) under COLUMN | Be the First to Comment

穏やかな湖の底で眠るように

無音が響き渡る ただこの世界に抱かれたい

幾度 荒れ狂う嵐に遭遇しても
決して難破を知らない帆船

海から聴こえていた セイレーンの歌だけが
今も鼓膜を震わせる

強く強く結ばれた手綱を引き寄せて

その 底なし沼のような深さも知らないのに
貪欲に蜜をあつめる 無闇矢鱈な蝶々のようでも

その何処までもが知りたくて

言葉が 詞が 水の波紋と広がっていく
幾重と重なり合う 夜風がそっと耳打ちする

手を替え品を替えやってくる
要らぬ自己憐憫の塊を
知らない内に そっと掌で溶かして
それは甘いバターに変わっていく

月を映す 水鏡
黒の帳が降りる頃
やがて深い緑色に変わったら
星々の笑い声 森のさざめき

もっともっと 扉を開けて
湖の底へ沈むように
何処までも深く潜っても 良いですか

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