COLUMN

2012年07月24日(火)

「水の底」

穏やかな湖の底で眠るように

無音が響き渡る ただこの世界に抱かれたい

幾度 荒れ狂う嵐に遭遇しても
決して難破を知らない帆船

海から聴こえていた セイレーンの歌だけが
今も鼓膜を震わせる

強く強く結ばれた手綱を引き寄せて

その 底なし沼のような深さも知らないのに
貪欲に蜜をあつめる 無闇矢鱈な蝶々のようでも

その何処までもが知りたくて

言葉が 詞が 水の波紋と広がっていく
幾重と重なり合う 夜風がそっと耳打ちする

手を替え品を替えやってくる
要らぬ自己憐憫の塊を
知らない内に そっと掌で溶かして
それは甘いバターに変わっていく

月を映す 水鏡
黒の帳が降りる頃
やがて深い緑色に変わったら
星々の笑い声 森のさざめき

もっともっと 扉を開けて
湖の底へ沈むように
何処までも深く潜っても 良いですか

2012年06月18日(月)

「夜の海」

天の裂け目から 流れ出た闇は 何処までもなめらかに

腕枕で聴いた 脈打つ命。

空の色を映した 漆黒の波は いつまでも歌う

星が転げ落ちた 遠い遠い 昔のこと

蒼いろ だったのは いつのことか

ひしめき合う 記憶たちを 押し退けて

ただひとつの ブラックホールを 見つめる

孤独はいつまでも 甘露となり

ひしゃげた花々を 夜露にぬらす

砂利道をこえた あの丘で。

一瞬の輝きは 永遠の煌めきとなって

私など まるで どこにもいなかったように

しかし全てに溶け出したように…

それは宇宙の瞬きの まにまに。

2011年12月24日(土)

「木星の燐粉」

タルホ的な、不思議な夢を見た

木星は青と赤と緑で出来ているらしい。
その木星の上には、ふわふわとした雲が3つ漂っている。そしてそのまた上には、10メートル間隔で虹のように輪が3つかかっている。
木星からは燐粉が降っていて、その燐粉を吸うと直感力や洞察力が鋭くなるんだって。

[2009-05-12記]

2011年05月14日(土)

「風葬」

誰にも言えないこの気持ちを いくつ重ねれば大人になれるのか

いつかの悲しみは 私に降り注ぎ雨で濡らし
あの日の寂しさは 私の心に綺麗な模様の染みを残す

この気持ちを誰が知ろうか

新たな旅立ちの決意は
私の中の二人のわたしを
決して離れたくはなかった二人のわたしを
残酷なまでに限りなく引き裂く

それでもその叫びが誰にも聞かれることのないように

死にゆくひとりの私を
絹の布で大事にくるんでから
もう一人の私が静かに風葬する

色とりどりの花びらが 墓標のかわり

その花びらが枯れる頃には 
わたしはわたしをすっかり忘れて
止まらぬ駆け足でどこまでも走り抜けていく

2011年05月13日(金)

「雨粒」

霧煙る 雨の中で ひとり 我何想う

細かい雨粒は肌に纏わりつき
わたしを優しく洗ってくれる

未だ知らぬ未来の希望と
少し寂しがる過去を置いてきぼりにして

今という瞬間は 何をも気にすることなく
わたしの真横をただ強く流れていく

2010年08月04日(水)

「ひみつ」

深い 赤い 薔薇の花びらを
一枚いちまい むしゃむしゃ 食べた

花びら達は わたしの思いで ぐつぐつ煮えて
甘い甘いジャムになる

誰かの紅茶にこっそり入れようか

シベリアの 真っ赤な頬っぺたした女の子
飲んだら女になるだろか

いつでも こっそり舐めてみる
甘い甘い蜜のジャム

無尽蔵に 宇宙に広がる
自由の甘美な味が

女の真っ赤な唇になっていく

2010年06月30日(水)

「記憶」

そうね 遠い昔に 約束したことを

琥珀の中で眠るように 悠久の時代を重ね

わたしは覚えているだろうか

春の芽の息吹き 柔らかなその光を

時々ひとりそっと 思い出しては

ありがとう と 言いたいけれど

言葉だけでは足りなくて

私の体は 熱くなる

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